限界ファッション講座 戦略編

ファッションに興味がない

私は長らくファッションに興味がなかった。貧乏生活が長かったため、あえて興味を持たないように欲望を制御してきた側面もないわけではないが(一般に時間も金もかかるものなので)、そもそもそこまでファッションに興味がない。今も願わくば、永遠にジャージかパジャマで過ごしていたい。

とはいえ都会においてはビジュアルは肩書きのようなもので、それだけでだいぶ印象が異なる。見た目の印象など気にもかけないコミュニティに身を置くのがはっきり言って一番いいのだが、都心部で暮らすにあたっては、毎日通勤電車に揺られ、仕事をこなし、初対面の人と大量に顔を合わせなければならず、そうもいってられない場面が多い。何より不利益が大きい。というのも女性は身だしなみをしっかりしなければならない、という社会圧がそこかしこに存在するので、それに反抗する時点で奇異の目で見られるし、特に男性からの扱いは露骨に雑になるからだ(これはファッションを変更してしみじみ感じた。なお、モテるとかモテないとかそういう次元ではなく、挨拶しても返してもらえないとかエレベーターのボタンを押してもらうようお願いすると嫌そうな顔されるとかその次元である)。

そんな世の中にフ○ックと叫びたい気持ちがないわけでもないが、文句を言っても仕方がない。というわけで、ファッションに興味がない、願わくば関わりたくもないけども、利をとるためにファッション弱者もファッションやっていきましょう。死なない程度に防具を身につけてフィールドに出ましょう。というのが本記事の趣旨です。

なお、内容は女性を想定しています。ファッション以外にメイクや髪型などのハードルが待ち構えていますが、これについては追々。

 

  

選択肢が無限すぎる

ファッションの難しいところは、興味のない人間からすると選択肢が多すぎる上に、区分がよくわからず、区分の基準も曖昧、というところにある。 

そもそもカタカナ誤読王の称号をほしいままにする私からすれば、カジュアルやらコンサバやらは誤読してしまうし、無事正確に読めても何を意味するのかわからない。日本語でOK。しかもどの服がどの分類に当てはまるかも曖昧で、はっきりいってファッション弱者にはどこのだれべえ向けだか区別がつかない。ファッション雑誌もすでにこれらの専門用語を熟知しているだろうという前提でたたみかけてくるので、全く役に立たない。そもそも、ファッション雑誌自体が雑誌ごとに受験参考書で言うところの大学別過去問集レベルで分かれている傾向にあり、そのくせ「ゆるかわ」だの「愛され」だの概念の怪しい単語が飛び交っている。さらには、どれが自分の好みなのか、どれが自分に合うのか、どの場所でどの服を着ていくべきなのか、流行はどうなっているのか、年齢に合っているのか、など考え出すと、組み合わせは無限大となる。よく言えば広大な可能性が広がっているわけだが、世界地図を片手にパン屋を探せというものでもある。

ではどうするか。とりあえず、選択肢を絞る。可能性を狭めていきましょう。
 
 

自由と多様性を捨てよう

たいていファッションすべき場所は、仕事場か、プライベートで外出する時と思われる(なお、ちょっとおしゃれな、でもカジュアルめなフレンチレストランにいかないとなんだけど…という場合については、ジムバッジが足りないのでここでは想定しない)。

とはいえ、弱者には仕事で着ていくべき服とプライベートで着ていくべき服の区別すらつかない。となれば、とりあえず日常で着る服とオフィスで着る服の区別を曖昧にする(どちらも着られる服を選ぶ)という戦略でいくのが無難。そうなると、基本的にはオフィスで着る服の方が選択肢が狭まるので、いわゆるコンサバ的な、あるいはオフィスカジュアルと呼ばれるような部類のファッションを目指すことになる。迷ったときは、仕事場に着ていけるかどうかで区分するわけだ。当然ながらギャル系やゴスロリ系、パンク系は選べないし、ガーリー系やカントリー系、森ガール系、エスニック系も相当うまく乗りこなさないことには浮くリスクの高い危険なジャンルとなる。なお、仕事場がファッションにかなり寛容な場合は判断基準がぶれてしまうので、中央値に寄せたい場合には、電車に乗った際に仕事帰りの人たちとなじむか否かくらいの基準で選ぶなどの方法がある(というかこれを真剣に読んでくれている方がいるとすれば、既にかなりファッションには寛容な仕事場にところにお勤めではないか…という霊感がしている。私のところもわりにそうです)。

 

次の制限要素が自身の素体(体型および肌の色)である。特に肌になじむ色の服を買わないと、目の錯覚で肌がくすんで見えてしまい、顔が暗い印象になってしまう。また体系に合う服を買わないと重心が定まらず、のっぺりしたり、あるいは必要以上に太いところが強調されてしまったりする。

なお、私は地黒のため、トーンの明るいパステルカラーや寒色系は死ぬほど似合わないという縛りプレイを生来より課せられている。また体系はウェーブ型(出るところは出る)の上にいわゆる典型的下半身デブのため、体のラインに沿ったパンツは似合わない。しかし不幸なことに、私は長らく(ファッションに消極的な結果ではあるが)寒色系のトップスとストレートジーンズという最悪に似合わない取り合わせを好んで着ていたため、ドラえもんのなり損ないのような出で立ちで世を徘徊することになってしまった。たまにユニクロのシャツとジーンズでもおしゃれに着こなす人がいるが、あれはユニクロが優れているのではなく、着ている人が選ばれし者(素体)なのだ…ということに気づいたのはつい半年前のことである。

自分の肌の色や体型が何に類型されるかは、パーソナルカラーと骨格診断の本が出版されているのでそれを参考にしてほしい。自分で判断がつかない場合は、そういうのを教えてくれるお店も存在するようなので、勇気を出して行ってみよう。
 

美人だけが知っている似合う服の原則

美人だけが知っている似合う服の原則

 

 

 

タイトルに圧を感じるが、大丈夫怖くない。

 

以上、ファッションする必要性のあるシチュエーションと自身の素体という制限要素をあげた。これでかなり選択肢は狭まったと思われる。大学受験でいえば志望校と受験科目を絞ったようなものなので、あとは個々に傾向と対策を進めることになる。

 なお、自分の好みが考慮されていないのでは、という問題であるが、ファッション弱者には当面ファッションに自由や多様性などない、くらいに思っていた方がいいのかもしれない。素朴に自由を求めた結果がドラえもんである、という現実を直視するところから始めていきましょう。私はそこから始めました。涙を拭きながら…


次の記事では実践編を書く予定。